Proposal
学生成績管理システム
構築に関するご提案
2026年8月6日 ヒアリング内容にもとづく
エグゼクティブサマリ
- 課題 — 御学では在籍920名の成績を「試験1つにつきExcel 1ファイル」で管理され、教員の私物PCで入力・USBで教育支援課へご提出という運用が続いています。臨床実習の評定表は年間9,000枚規模に及び、集計は担当職員のPC1台に依存しています。
- 提案 — 現行のExcel様式をそのまま活かせるクラウド型の成績管理システムを構築します。教員はブラウザから入力・アップロード、教育支援課/教育センターが全学を統合管理し、最終出力はExcelで行えます。
- 期待効果 — 集計・転記工数を年間で約6割削減、入力ミスによる合否誤りをシステム側の検証で事前に検出、USB・紙の受け渡しを廃止し、データ保全とセキュリティを同時に確保します。
御学の課題認識
御学では、以下の課題を認識されていると理解しております。
2-1. 成績データが「試験の数だけ」分散している
医学科100名×6学年、看護学科80名×4学年の計約920名に対し、試験1件ごとにExcelファイルが作成されています。1学年あたり約30科目、複数学年で並行して試験が実施されるため、年間で扱うExcelは膨大な数にのぼります。臨床実習では5年次100名が10名グループで30診療科をローテーションし、評定表だけで年間9,000枚規模が発生しています。
2-2. 属人化とデータ保全のリスク
- 成績を入力する教員のPCは全て私物であり、セキュリティは各研究室の運用に委ねられています
- 集計は教育支援課の担当PC1台で行われており、「そのPCの調子が悪い」という状況が業務停止に直結します
- 大学サーバーは自主管理であり、データ保全の観点でご不安をお持ちであると伺いました
2-3. 入力ミスが合否に直結する
「ずっと入力していて1行ずれ、合格者が不合格になる」というリスクを、現状は時間をかけた目視確認で防いでおられます。これは本来、システムが担うべきチェックです。
2-4. 業界動向
全国の大学では教務システムのクラウド移行が進んでいますが、医科大学・単科大学は学年制・進級判定・臨床実習評価という固有の運用を持つため、汎用パッケージが適合しにくい領域です。海外にはオープンソースの選択肢がありますが、日本語化・進級判定への非対応・改修の困難さから、実運用に耐えないケースが多いのが実情です。この点は佐和様ご自身がお調べになったとおりと存じます。
この領域では「既存パッケージの改修」よりも「スクラッチ開発」の方が、結果として改修が容易で総コストが下がります。御学の学則変更(毎学年留年制への移行など)にも柔軟に追随できます。
ご提案内容
3-1. ソリューション概要
クラウド型 学生成績管理システムをスクラッチで構築いたします。
| 領域 | 機能 |
|---|---|
| 成績入力 | 現行Excelのアップロード取込/ブラウザからの直接入力/下書き保存 |
| 検証 | 点数の範囲外・空欄・重複・学籍番号の不一致を登録前に検出 |
| 判定 | 合否・評語(秀優良可不可)の自動判定/GPA自動計算/単位認定 |
| 進級判定 | 判定基準に沿った一括判定(進級/再履修あり進級/留年)・判定会議用の出力 |
| 帳票 | 成績証明書・単位修得証明書・GPA証明書/現行様式のままExcel出力 |
| 権限 | 教員(自科目のみ)/教育支援課/教育センター/スーパー管理者/学長 の階層制御 |
| 保全 | 毎日の自動バックアップ(30世代)/2リージョン冗長化/全操作の監査ログ |
3-2. Before → After
| 現在 | 導入後 | |
|---|---|---|
| 教員の入力 | 私物PCのExcel → USBで提出 | ブラウザから入力/Excelをアップロード |
| 提出物 | Excel+印刷物+USB | クラウド上で完結(USB・紙は不要) |
| ミス検出 | 目視で時間をかけて確認 | 登録前に自動検出・該当行を提示 |
| 集計 | 担当PC1台に集約 | 全学横断でリアルタイム集計 |
| 評定表 | 年間9,000枚を回収・転記 | 電子提出/未入力欄は標準評定を自動適用 |
| 証明書発行 | 都度、手作業で作成 | 個別・6学年一括をワンクリックで発行 |
| データ保全 | 自主管理サーバー・個人PC | クラウド冗長化+自動バックアップ |
3-3. デモ画面(実際に操作できます)
2つのプラン
ご予算の議論が運営委員会で行われるとのことでしたので、段階的に判断いただける2案をご用意しました。
Plan A
標準構成
まずは確実に効かせる
佐和様が「最低限これが欲しい」とおっしゃった範囲に絞った構成です。
- 成績の取込・入力・検証
- 科目別/学生別の成績一覧・成績カルテ
- GPA計算・単位認定・進級判定
- 証明書・Excel帳票の出力
- 権限管理・バックアップ・監査ログ
Plan B
フル機能
将来像まで含める
プランAに加えて、次の機能を実装します。
- BIダッシュボード — 学年別平均点推移・科目別合格率・GPA分布の可視化
- AI学修分析 — 成績・出席・実習評定を横断し、進級リスクの高い学生を早期検知
- 臨床実習ローテーション管理 — 30診療科×10グループの進捗管理、指導医のスマホからの評定入力
- 出席管理 — ICカード(学生証タッチ)連携による出席率の自動集計
- 外部連携 — Google Workspace(kpu-m.ac.jp)のOAuthによるシングルサインオン、Moodle連携
- 名簿の一括登録強化 — 氏名の読み仮名を自動補完し、メールアドレスの重複を事前検出。1件のエラーで登録全体が止まりません
- 学生マイページ — 学生が自分の成績・単位・GPAを閲覧
Moodleの一括登録で、読み仮名が原因で2時間を要したというお話を伺いました。プランBではこの工程を8秒に短縮する設計としています。
類似事例
事例1|大手警備会社(営業部20名規模)/Excel分散管理からの脱却
- 課題 — 約20名が個人別Excelで案件を管理し、全体の数値が見えない。野良Excelが複数散在
- 対応 — モックを先行して作成し、画面を見ながら要件をすり合わせ。現行Excelのデータ構造を分析してシステム設計に落とし込み
- 効果 — 個人Excelの集約により、全体進捗と数値の可視化を実現。要件の齟齬による手戻りを開発前に解消
御学とは「個々人のExcelに情報が閉じている」という構造が共通しています。本ご提案でもモック先行のアプローチを採用しています。
事例2|宿泊業向けSaaS開発企業/段階開発による予算内着地
- 課題 — 全機能を一括開発すると予算・納期ともに超過する見込み
- 対応 — 必須機能をPhase 1、優先度の低い機能をPhase 2に分割。セキュリティ要件を準拠基準(OWASP/NIST/ISO 27001)付きで明文化
- 効果 — 1,000万円台の予算内で、稼働開始時期を守る計画に着地
御学でも、プランA(Phase 1)→ プランB(Phase 2)の段階導入により、初年度予算に収めながら将来像へ拡張する進め方が可能です。
スケジュール・体制
| フェーズ | 期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 要件定義 | 1.5〜2か月 | 現行ワークフローの棚卸し、Excel様式の分析、権限設計 |
| 設計・開発 | 4〜5か月 | 画面・DB設計、開発、単体/結合テスト |
| 移行・受入 | 1〜1.5か月 | 過去データの移行、教員向け操作説明、受入テスト |
| 稼働 | — | 年度切り替え(4月)に合わせた稼働を推奨 |
- 2026年度内に要件定義を完了すれば、2027年4月の年度切り替えに合わせた稼働が視野に入ります
- 体制:PM 1名/設計・開発 2〜3名/QA 1名(プランBの場合は増員)
概算費用
以下は現時点のヒアリングにもとづく概算レンジです。正式なお見積りは要件定義の完了後にご提出いたします。
| プランA(標準構成) | プランB(フル機能) | |
|---|---|---|
| 初期構築費 | 450万円 〜 650万円 | 1,000万円 〜 1,300万円 |
| 月額運用費 | 8万円 〜 12万円 | 15万円 〜 25万円 |
| 含まれるもの | クラウド利用料、保守、バックアップ、問い合わせ対応 | 左記+AI分析基盤、外部連携の保守 |
オンプレミスとの比較
| オンプレミス(学内サーバー) | クラウド(本ご提案) | |
|---|---|---|
| 初期費用 | サーバー機器・OSライセンス・構築費が別途必要 | 機器投資が不要 |
| 保守 | 学内での自主管理・障害対応 | 弊社が対応(24時間監視) |
| 更新 | 5年ごとの機器更新に再投資 | 更新費用なし |
| データ保全 | 単一拠点・バックアップは自前運用 | 2リージョン冗長化・自動バックアップ |
| 5年総コスト | 機器更新分を含めると割高 | 費用対効果で優位 |
「大学のサーバーは不安定で自主管理」というご懸念に対して、クラウドは初期投資・保守負担・データ保全のいずれの面でも優位です。詳細な比較表は別紙にてご提出いたします。
ネクストステップ
| 時期 | アクション | 担当 |
|---|---|---|
| 8月13日(水)まで | クラウド/オンプレのコスト比較資料・概算費用をご提出 | 弊社 |
| 8月中旬 | 教育企画・教育支援課様への現行ワークフローのヒアリング | 御学 |
| 8月19日(水)13:00〜15:00 | 第2回お打ち合わせ(オンライン)/モックを用いた要件確認・費用感のすり合わせ | 双方 |
| 9月以降 | 運営委員会でのご審議に向けた資料のご支援 | 弊社 |
次回は、教育支援課ご担当・教育センターの先生方にもご同席いただき、現行ワークフローを踏まえた要件の具体化を進められればと存じます。